技能実習生の支払い費用に関する実態調査
技能実習生の失踪等の背景として、技能実習生から不当な費用徴収がされていることが疑われることを踏まえ、外国人技能実習機構及び地方出入国在留管理局による実地検査等の際に直接聴取を行われ、その結果が公表されました。
ベトナム、中国、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、カンボジアの約2,200名の技能実習生が対象となっています。
来日前に送出機関及び仲介者(送出機関以外)へ支払った費用総額の平均値として、ベトナムが最も高く(688,143円)、以下中国(591,777円)、カンボジア(573,607円)、ミャンマー(287,405円)、インドネシア(235,343円)、フィリピン(94,821円)と続きます。
これらの金額の差は各国の制度の違いによるもので、この数字からもわかるように特にフィリピンの外国就労については他国と比較して政府に守られているということが言えると思われます。
そして、各技能実習生が抱える借金もほぼ上記金額に類似しているというデータがあり、その返済期間が2年以上かかることもあります。
例えばベトナムは、平均年収が25万円程度であり、技能実習生はその3年分近い金額を支払って日本に働きに来ていることになりますが、その来日費用をほぼ全額借金していることになります。
技能実習制度は「途上国への技術移転」という国際貢献と掲げてきたが、実際には低賃金の外国人労働者を日本に呼び込む仕組みとして機能しており、先の借金問題も含めて技能実習生に対する負担は計り知れないものとなっています。
今年は年内に技能実習制度の見直しがなされるという政府の発表もありましたので、上記問題も含めて外国人との共生の実現に向けた新たな制度改革に期待をしたいところです。